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じっくり考え、批判的思考力が育つ数学の授業とは?
AI時代を生き抜くスキル
批判的思考とは、問題を複眼的に見て、あらゆる可能性をじっくり考え、最適な解を導こうとする思考のことです。古くはギリシャ時代、哲学者のソクラテスが「無知の知」という、自分が知らないことを自覚する知的能力の重要性を提唱しています。批判的思考は、2000年頃から日本でも少しずつ教育に取り入れられるようになりました。私たち教師は子どもたちが大人になる10年後の世界を想像しながら教育をしなければなりません。数学の場合は計算など、AI(人工知能)が得意な領域と重なる部分が多いことに気づくでしょう。批判的思考力はそのような未来社会を生き抜くためのとても重要な能力です。
算数や数学の授業に取り入れると?
批判的思考力を養う授業では、数学教師は従来の授業に加えて、解が1つではない問題を子どもたちに投げかけます。例えば、「子どもが30人います。4人掛けの長椅子に座るとき、長椅子は何台あればよい?」といった問いを、じっくり話し合います。割り算すれば8台(7台を4人ずつで座り、もう1台を2人が座る)ですが、同じ8台でも6台を4人ずつで座り、2台を3人ずつで座ってもよいでしょう。公平性という社会的な価値観を使えば、仲良く3人ずつゆったり座って計10台になります。皆が意見を出して方法を工夫することで、「納得解」という、より良い解を求めることができるのです。
批判的思考力がめざす知的自立性
批判的思考力は、純粋に数学の問題を解く時だけでなく、社会生活の中でより良い解決法を判断する時にも活用できます。何かの提案に対して賛同できない時に、代替案を出せるかどうかが肝心であり、代替案が提案できるならそれは、強い批判的思考力ができているということです。批判的思考力を授業に取り入れることによって、子どもたちは主体的になり、じっくり考えながら問題を解決し、判断する力を育んでいけます。その積み重ねによって、受け身の学習・受け身の人生を歩むことなく、「知的自立性」を高めていくことが、教育における究極の目標と考えます。