埼玉大学の教員による講義動画

実は細長くてつぶつぶ!?寿命に関わるミトコンドリア

関心ワード
  • DNA(デオキシリボ核酸) 、
  • 遺伝子 、
  • カビ 、
  • 高齢者 、
  • 細胞 、
  • 細胞死 、
  • 生物 、
  • パーキンソン病 、
  • 病気 、
  • ミトコンドリア 、
  • 老化

実は細長くてつぶつぶ!? 細胞寿命に関わるミトコンドリア

糸状と粒状のバランスが大事

教科書に必ず載る真核生物の細胞にミトコンドリアを見ることができます。生物のエネルギーを効率よく作り出す大事な小器官は、折り畳まれた膜構造を中にもつ楕円形の粒の形状として表現されることが多いため、コロコロしているイメージを持つ人も多いと思います。しかし、実際のミトコンドリアは細長い糸状(管状)をしており、粒状(断片)のものも観察されます。糸状のミトコンドリアは、時々断片化しては再び糸状に戻ることで絶えず正常に機能します。

ミトコンドリアの状態悪化がひき起こす病気や加齢

断片化が起こる理由として、機能が低下した部分をちぎって消化し、良いミトコンドリアを残すと考えられています。さらに新品のミトコンドリアが補われ、融合することで細胞内の量が維持されます。このはたらきが低下している例として、パーキンソン病があります。脳の神経細胞の不要なミトコンドリアが消化されずに溜まってゴミ屋敷の様相を呈しています。当然、細胞の機能は低下します。また、老人の細胞ではミトコンドリアは粒状の割合が、若い細胞よりも高くなっています。融合と分裂のバランスの偏りも老化の一因と考えられ、特に融合に関わる遺伝子の異常によって老化が著しく加速することが明らかとなってきました。

ミトコンドリアDNAが細胞の死に関わる

研究対象のアカパンカビは、菌糸の先端が伸び続けることで養分を吸収し代謝を行います。この先端成長は2年以上続きますが、ある遺伝子の異常により、20日程度で伸びが終わり、死に至ります。この株では、ミトコンドリアDNAが大規模に壊れていました。真核細胞は共生進化の過程で取り込んだ好気細菌に由来する独自のゲノム(ミトコンドリアDNA)をミトコンドリア内に持っています。短寿命の原因遺伝子を特定したところ、この遺伝子がミトコンドリアDNAを正しく維持するために働いており、この遺伝子の異常によってミトコンドリアDNAが徐々に壊され、ミトコンドリアの機能が低下して、細胞の死につながると考えられています。

参考資料
1生体制御学科 / 生体制御学プログラム(大学サイト)
この学問が向いているかも 生物学、遺伝学、細胞生物学

埼玉大学
理学部 生体制御学科
准教授 畠山 晋 先生

先生がめざすSDGs
メッセージ

勉強は集中して効率よくやることが大切です。他のことに目もくれず続けてできるのであればいいのですが、がんばっても行き詰まり、集中力が散漫になります。このことは勉強でなくても、仕事や趣味、スポーツでもおこり、もどかしい気持ちになります。たくさんがんばって脳が疲れているときには、何も考えないことをしてみるとか、全く別のことに集中することで、疲れをリセットすることができます。私の場合は、緩やかな内容の小説を読むことや楽器の演奏をするなど、別の行動に没頭することで、リセットのスイッチとなっているようです。

先生の学問へのきっかけ

数学と化学が好きという理由で理系を志望し、夜間の大学で化学を専攻。昼は企業の研究所で助手をしながら理科教師を目指しましたが、教育実習を経て不向きであると気づきました。卒業を延期して研究室に入り、カビの酵素の解析に熱中して研究の楽しさに目覚めました。一旦就職するも仕事になじめず、研究室の先生に相談したところ、研究が好きなら大学院に行くよう薦められました。がんばって大学院に入り、遺伝学の研究を始めました。その後も紆余曲折はありましたが、現在カビの遺伝学を研究しています。「好き」に正直でいてください。