バナナから見える世界:文化人類学的視点

2018年06月16日 大阪会場にて収録

関心ワード
  • アフリカ 、
  • インド 、
  • 環境 、
  • 栽培 、
  • 食料・食糧 、
  • 中南米 、
  • 東南アジア 、
  • 熱帯 、
  • バナナ 、
  • フィリピン

講義No.g009005

むいて食べるだけがバナナじゃない! 世界のバナナ事情

バナナは品種も栽培方法も食べ方も多様

日本人が食べているバナナは、主にフィリピンの大規模プランテーションで栽培される黄色いキャベンディッシュという品種です。皮をむいて食べるのが一般的で、調理することはありません。しかし、世界を見渡すと中南米、東南アジア、アフリカなどの熱帯の湿潤地帯でバナナは栽培されていて、品種も栽培方法も食べ方も多様です。食用バナナは生食と料理用バナナに分類されます。料理用バナナは緑色の時期に収穫され、煮たり蒸したり焼くなどして食べます。主食とする文化もあり、自給自足で暮らす人々の貴重な食料源となっています。

植えるだけで世話をしなくても育つバナナ

バナナと人間の関係が多様である理由として、栽培が容易であることが挙げられます。アフリカの熱帯雨林、カメルーンの森林で生活するピグミーは狩猟採集民族ですが、1950年頃から農耕も取り入れ、バナナの栽培を始めました。栽培といっても焼畑にバナナの株を植えるだけで、その後はあまり世話をしません。それでも育つので新たに農耕を始めた彼らにとって好都合だったのです。米やトウモロコシだとこうはいきません。彼らにとってバナナは主食ですが、食料をそれだけに頼っているわけではありません。収穫できなければ森に行って野生の動物や植物を獲ってくればいいと考えています。バナナは彼らのライフスタイルに合った食材なのです。

栽培を工夫すれば年中収穫できる貴重な食料に

一方、南インドのケララ州に住む人々は、畝(うね)を作りバナナを植えて牛糞を肥料として育てます。きちんと育てれば、実も大きくなり収穫量も増えます。バナナは1年から1年半で実がなるので、時期を変えて植えれば1年中収穫することができます。また、乾燥に強い品種や寒さに強い品種など複数の品種を育てることで、環境の変動にも対応可能です。品種の違いで利用法や調理法も変わります。バナナの柔軟性は、人々の食文化を豊かにしているのです。

参考資料
1バナナの栽培と流通の例
参考資料
2バナナの品種と料理の例
この学問が向いているかも 文化人類学

山口大学
国際総合科学部 国際総合科学科
教授 北西 功一 先生

メッセージ

私はバナナの研究をしています。バナナは世界中の熱帯で栽培されている作物ですが、バナナを研究することで世界中を回り、広い視野を得ることができました。地域ごとのバナナと人間の関係を比較することで、地域の社会のあり方が見えてきます。バナナと人間の関係は多様で、日本人である私たちからは想像もできない豊かな世界が広がっています。
ぜひあなたも日本にとどまらず、世界に羽ばたき、いろいろな知見を広めていってください。

先生の学問へのきっかけ

もともと人類進化に興味があって、アフリカの熱帯雨林に居住するピグミーと呼ばれる狩猟採集民の研究をしていました。その近くに主にバナナの焼畑農業を行っている集団がいて、研究仲間に誘われてバナナ調査を始めました。日本人が食べるバナナは、どれも同じ形で食べ方もほぼ皮をむいてそのまま食べるというものです。しかし、実際にバナナには多様な品種があり、身の形、食べ方もいろいろで、地域ごとにそれぞれ品種、栽培法、利用法にも特色があります。またバナナは輸出入を通じて、途上国と先進国の関係を考える材料にもなるのです。

大学アイコン
北西 功一 先生がいらっしゃる
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